Loading...

セネガルにおける女性運動・フェミニズム運動

金信光恵
(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程(5年一貫制)在籍)

 私は、大学院でセネガルにおける女性運動・フェミニズム運動について研究しています。5年一貫制大学院の1回生の時に3か月間、セネガルの首都ダカールに所在する女性支援団体でインターン生という形で勤務しながら、セネガルにおいて女性運動が誰によって、どのように展開されているのかを調査しました。具体的には、団体の活動に私も職員として参加しながら、その内容や参加者の様子を記録したり、団体が所蔵している過去の刊行物を収集し、女性支援団体の過去の取り組みや歴史を調べたりしました。

 このような調査をしていく中で、私は京都大学大学院の先生方、職員・先輩の皆様が築いてこられた今までの実績と信頼に大きく助けられました。私は数年前に一度セネガルに1か月ほど滞在したことはありましたが、研究目的の渡航は初めてで、つてやノウハウが全くない状態でした。しかし、京都大学における私の副指導教員が、過去にシェーク・アンタ・ジョップ大学(UCAD)に留学しており、この副指導教員の留学時友人で、現在UCADに勤めているセネガル人の先生方に研究指導で大変お世話になることができました。京都大学はUCADと協定を結んでいるため、UCADの先生方の指導を安心して受けることができました。また、UCADはセネガルでトップクラスの大学であり、調査先を開拓していく際にも、UCADが受け入れをしている学生ということで信頼を得られやすかったと感じています。これらは大学院に在籍し研究留学をすることの大きなメリットであると感じました。

 留学を通して、私は「リアルな」セネガル社会を学ぶことができたと感じています。アフリカは日本から遠く、日本で日常的にアフリカに関するニュースを聞くことはあまりなく、そのため私たちが普段アフリカについて学ぶ機会は非常に限られています。そんな中、現地で人々と一緒に暮らし、同じものを食べ、彼ら/彼女らが話す言語を学び、コミュニケーションを図ることで、少しでもリアルなセネガル社会に近づくことができたのは、大変貴重な機会でした。私の研究テーマであるセネガルのジェンダーやフェミニズム運動に関していうと、発祥当時の西欧の白人女性を基準にしたフェミニズムは西欧以外に住む女性たちを貧しく無知な存在だとレッテルを貼ってきたとベル・フックスなどの黒人のフェミニストが批判していますが、私も日本などセネガルの外にいれば、セネガルの女性たちを偏見の眼差しで見つめていたかもしれません。今もまだまだ勉強中の身ですが、欧米や日本の基準・価値観で人々を評価するのではなく、実際の現地社会がどのように機能していて、現地の人々はどのような考えを持っているのかを、なにより現地での実感を大切にして、現地の人々から学ぶという心構えで調査を進めていくことが何より大切なことだと感じました。

 また、滞在中はセネガルの家庭にホームステイをさせていただき、ホストファミリーからたくさんのことを学びました。日々食事を囲みながら話す会話からは、セネガルの社会、宗教、政治、文化の一端を知ることができ、また一緒に生活をする中で現地の言葉であるウォロフ語を学ぶこともできました。子どもたちからは、一緒に遊ぶ中でセネガルで流行っている音楽やわらべ歌を教えてもらいました。

 留学中に関わってくれたすべてのセネガルの人々と、留学をサポートしてくれた所属先の京都大学や世界展開力強化事業事務局のご支援に心より感謝いたします。

(2025年3月時点)

招待してもらった結婚式でドレスを着て踊る
調査先の女性支援団体で、女性の政治参画に関する啓発イベントを行う